民放連がCM飛ばし機能の削除を求める?

日経の記事

 要約された記事を意訳すると、「民放の主たる収入源であるテレビCMが録画時にカットされてしまうことで、広告価値が下がり民放各社の収入に多大な影響を及ぼす。このため録画機器メーカー各社に機能削除を求めていく。民放連の要求に応じない場合は、対応策としてCMカットが出来ないようにする」
というものだ。

 在京の民放各社の収入は、テレビCMが大きな割合を占めていることは確かにそうだ。一昔に比べたら、その割合は年々減少傾向にあるが、それでも売上比率は大きい。おそらく地方局になるとその割合は大きくなる傾向になるはずだ。なので今回の発言は在京テレビ局よりも地方局のほうが声が大きいのではないかと推測する。

 テレビ局側の立場に立てばそういう思考になるのかもしれないが、メーカーの主張は最もで「ユーザーが求める機能を提供する」これに尽きる。メーカーからすれば、他社との競争をしなくてはならず、「ユーザーが求める機能」を搭載して市場競争力を強化したいのは当然だ。従ってメーカー側が素直に応じるとは思えない。

 ではユーザー側の立場にたって考えよう。
 まずユーザーからすると、わざわざ時間を割いてCMを見ようと思う人は極少数だ。リアルタイムで見ているならまだしも、録画しているものを見るときにCMを見るかというと、殆どの場合はCMを早送りするなりするだろう。私もそうだ。

 要するにこの問題は誰も見たくないCMを如何に見せるかという問題が1つ。
 もう1つの問題として、CM価格の根拠となるデータが視聴率という曖昧なデータに基づいているという事がある。視聴率の話はオイオイするとして、今日はCMを如何に見せるかという事に言及したい。

 話は飛ぶが、地デジ化に伴い地上波デジタルの画面解像度は1440×1080という数字になっていて、これを16:9に横へ伸ばしている(規格上は画面比率4:3もあるのだが、そのようなテレビがほとんどない)。ここではこの解像度をHDと呼ぶ事にする。(HDの定義として正確でないことに注意)
 一方で、従来放送されてきたアナログ放送は解像度という概念がないため、最も画質が近いとされるDVDで考えると720×480で比率が16:9または4:3という事になる。ここではこれをSDと呼ぶことにする。(SDの定義として正確でないことに注意)

 アナログ放送時代では、画面比率が4:3のテレビと16:9のテレビ(いわゆるワイドテレビと呼ばれていた物)が混在する状態であったが、地デジ対応をうたうテレビはほぼ確実に16:9の画面比率を持つ。従って仮に日本全域100%地デジ対応となれば、4:3の画面比率など無視して良い存在となるはずだ。

 ではすべての番組が16:9である必要性はあるのかという事を考えると、まったくそうではないはずだ。映画などを放送する場合は16:9でなければ困ることもあるだろう。一方でニュース番組などの画面上にさほど情報量を必要としない番組の場合はどうか。過去に4:3の画面比率で困ったことがあったろうか。きっとなかったはずである。従って無理に16:9にする必要性はまったくないと言っていい。

 長々と書いてしまったので、結論じみたことを言うと、「テレビ番組を4:3で出力し、余ったスペースにバナーのような広告を挿し込み、16:9となるように調整して放送すればいいだろう」という案を出したい。

 すごく安直なアイデアであるので、テレビ局側で当然このアイデアを考えた事があるはずである。しかし、実験が行われたという話を聞かないし、見たこともない。なんかしらの制約があって実験すら出来ないと言うのであれば、その制約について考えていく必要性も出てくる。制約もなく実験すらしていないのであれば、それはテレビ局の怠慢としか言いようがない。

 このポストの最初の方に出てきた、「メーカーが応じない場合」の下り。テレビ局側がとりうる対抗策は、おそらく技術的にCMカットが出来ないような仕掛けを電波に載せる方向を意味すると感じている。ここでは技術的な話題に触れないが、現在の地デジ放送のCMカットの方法から考えると可能であるが、迷惑をこうむるのはユーザーかCM制作会社というところだろうか。

 結論としては、テレビ局はもう少し自社のCM開発を考えたほうがいい。