GALAPAGOSが終わる日(1)

 シャープがGALAPAGOS端末の販売を中止するそうだ。

「ガラパゴス」進化せず シャープ、9月末で販売終了 「iPad」に対抗できず
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110915/biz11091510310007-n1.htm

 始まる前から終わってたとも言えるGALAPAGOSであるが、最近はすっかり存在を忘れていてニュースを見て「ああ、やっぱりね」というのが最初の印象であろうか。
 一応、他の販売ルートは残ってるようであるが、近い将来他の販売ルートも終わるであろうし、新たに端末が出てくることもないだろう。

 現時点で、GALAPAGOSは失敗であったと言えるだろう。では、なぜ失敗したのか。このあたりを考えてみたい。

 思い当たる節を列挙してみるとこんな感じだろうか。

  • 紙から端末へのシフト需要を創りだせなかった
  • 電子書籍としてのインセンティブがなかった
  • ガジェット好きが食いつかなかった
  • コンテンツ不足と流通の問題
  • ユーザー独自コンテンツが作れなかった

多くの人は本を紙で読む

 まとまった文量のテキストを読むのは、紙の本で読むのが当たり前。という大前提があり、多くの人は子供の頃からそういう訓練を意識しなくても受けてきている。
 ネットの発達した現在では、ウェブでテキストを読むという行為は一般的になってはいるが、200ページを超えるような新書のような文量のテキストをウェブで読みたいという人は、あまりいないだろう。
 目が疲れるし、栞のような機能があればよいが、ウェブの1ページに本一冊分のテキストが書かれていたら、さぞ読むのは大変であろう。

 PDFといった紙に近いフォーマットを持った形式であろうとも、紙の本に慣れている人からすると、PDFですら長文は厳しい物がある。

 電子端末で長文テキストを読むという行為自体が、「本をよく読む人=本をよく買う人」にとって苦痛なのだ。

 ちなみに私はどちらでもいい派であるが、夜は部屋の明かりをつけたくない性分で、夜間だと端末の光だけで読書が出来るという点で、電子書籍のほうが読みやすかったりするのだが、私の場合ははっきり言って異端であろう。

 GALAPAGOSのような電子端末のターゲットは本をよく読む人であり、そもそも本をあまり読まない人にとって、メリットがあまりない。むしろ端末代の負担が大きくのしかかる。一方で、本をよく読む人には電子化はあまりありがたみがない。
 そもそも需要がなかったのだと言ってしまっていいだろう。

電子書籍のインセンティブとは

 電子書籍が登場しだした頃言われていたのが、電子書籍なら本では実現しなかった事が出来る。例えば、音声ガイドを載せるなり、動画をつけることが出来るとか。目次からチャプターへのジャンプだとか。
 後者は便利であると言えるが、前者ははっきり言って需要がない。

 本の未来をテーマに語るといったカンファレンスを見ていても、本そのものの形態が変わっていくという考えを示したのは、出版業界の先進的な人たちであった。が、実際には変わっていくというムーブメントも作り出せなかった。
 これは、読者がついていけてないとも言える。本を読みたい読者はあくまで「本が読みたい」のであって、音声がついてるとか正直どうでもいい。

 では代わりに別のインセンティブを与えるにはどうしたら良いか。安直ではあるが、価格面で普及を促すという方法が挙げられる。

 現在流通している電子書籍の価格は、同じ紙の本と価格を比較するに、同額もしくは若干安い程度。ほとんどは、若干安い程度になるだろうか。整理すると

紙の本(新品)≧ 電子書籍 > 古本

という具合。古本で手に入るなら、古本のほうが安いわけだ。

 電子書籍の価格設定については、ちと難しい所がある。海外に比べ、日本の(紙の)本は価格が低めに設定されている。これは昔からそうで、業界全体での企業努力と業界のシステムによる所が大きい。
 海外での電子書籍と紙の本の価格比率と日本での価格比率を比べると、海外に比べ日本での価格比率に差が少ないのは、日本では紙の本が安いからというのが理由の1つである。このあたりは以前にも書いた。

 もう1つ理由を上げるとすれば、意外と電子書籍にまつわるコストが掛かっているという点。本を出版するコストを考えると、紙の本では印刷する数に応じてコスト全体が変動するが(印刷費が)、電子書籍の場合ほとんどが固定費である(編集費用)。だが、その固定費があまりに大きく掛かっているそうだ。このあたりは伝聞であるし、なんでそんなに掛かっているのか不思議でならないのだが、そういう事らしい。
 このあたりはまたの機会に再度整理したいと思う。

 この節で何が言いたいかというと、ユーザー側は電子書籍になれば、同じ本でも電子書籍ならば価格面で有利になるだろうと思っていたが、実際にはそうではなかった。ユーザー側のガッカリ感はわかってもらえるだろうか?

コンテンツ不足感に対する訴求力の弱さ

 GALAPAGOSに限らず、他の電子書籍マーケットでも同じであるのだが、「この本屋に行けば、なんでもある」という場所が存在しない。あの本はどこで売っているのだろう?それを自分で探し当てなければならないという残念さ。マーケットが乱立したら、まーそうなるよね。ということだ。

 電子書籍を購入するという行為を考えるに、決算の問題からクレジットカードが必要だったりして、若干の敷居が高くなるのは事実である。だいたい同じような操作で、紙の本をネットで購入することだって出来る。むしろ、ネットで紙の本を探したほうが早いという現実もあるわけで、電子書籍マーケット全体の本の数とamazonが抱える本の数を比較するに、amazonのほうが多いであろうという現実には代わりがない。

 結局のところ、amazonにしてやられるという状態になってしまっている。

 エントリーがまとまっていないが、ちょっと時間がなくなってきたので、続きを近日中に書くとして、今日はここまでとさせてもらいます。